普通免許でトラックを運転したいと考えている方は多いのではないでしょうか。実は、普通免許でも条件を満たせばトラックの運転は可能です。ただし、免許を取得した時期によって運転できる車両の範囲が大きく異なります。
また、トラックドライバーとしてキャリアを積んでいくなら、運転免許以外にも様々な資格が役立ちます。これらの資格を取得することで、給与アップや転職時の有利さにつながるでしょう。
この記事では、普通免許で運転できるトラックの詳細から、トラックドライバーに有効な7つの資格まで、わかりやすく解説していきます。
普通免許でトラックを運転したいあなたへ
「普通免許だけでトラックドライバーになれるの?」そんな疑問を持つ方は少なくありません。結論から言うと、普通免許でもトラックの運転は可能です。
ただし、すべてのトラックが運転できるわけではありません。車両の大きさや重量によって、必要な免許が決まっています。
まずは自分の普通免許でどこまで運転できるのかを正しく理解することが大切です。そして、将来的により大きなトラックを運転したい場合は、段階的に上位の免許を取得していく必要があります。
普通免許で運転できるトラックの範囲を知ろう
普通免許で運転できるトラックは、免許を取得した時期によって大きく異なります。これは過去の法改正による影響で、現在は3つの区分に分かれています。
免許取得時期で変わる運転可能な車両
普通免許の運転可能範囲は、法改正のタイミングで3つに分けられます。自分がいつ免許を取得したかによって、運転できる車両の条件が変わるのです。
平成19年6月1日以前に取得した場合
この時期に普通免許を取得した方は、現在の中型免許(8t限定)相当の車両を運転できます。具体的な条件は以下の通りです。
- 車両総重量:8t未満
- 最大積載量:5t未満
- 乗車定員数:10人以下
当時は中型免許が存在しなかったため、普通免許で4tトラックなどの中型サイズの車両も運転できました。現在でも、この条件を満たす車両であれば運転可能です。
平成19年6月2日〜平成29年3月11日に取得した場合
この期間に普通免許を取得した方は、準中型免許(5t限定)相当の車両を運転できます。条件は以下の通りです。
- 車両総重量:5t未満
- 最大積載量:3t未満
- 乗車定員数:10人以下
中型免許制度の新設により、普通免許で運転できる範囲が狭くなりました。主に2tトラックのロングボディなどが該当します。
平成29年3月12日以降に取得した場合
最も新しい普通免許では、運転できる車両の範囲がさらに制限されています。条件は以下の通りです。
- 車両総重量:3.5t未満
- 最大積載量:2t未満
- 乗車定員数:10人以下
準中型免許の新設により、普通免許で運転できる範囲が最も狭くなりました。主に軽トラックや小型の1tトラックが該当します。
車両総重量と最大積載量って何?
トラックの運転に必要な免許を理解するには、車両総重量と最大積載量の違いを知っておく必要があります。
車両総重量の見方
車両総重量とは、車両本体の重量に最大積載量と乗車定員の重量を加えた総重量のことです。つまり、そのトラックが最大限に荷物を積んで、定員いっぱいに人が乗った状態での重量を指します。
この数値は車検証に記載されており、免許の区分を判断する重要な基準となります。
最大積載量の確認方法
最大積載量は、そのトラックに積める荷物の最大重量のことです。車両総重量から車両本体の重量と乗車定員の重量を引いた数値になります。
運転前には必ず車検証で車両総重量と最大積載量を確認し、自分の免許で運転可能かどうかをチェックしましょう。
普通免許で運転できる具体的なトラック
普通免許で運転できるトラックの種類を具体的に見ていきましょう。
軽トラック
軽トラックは、どの時期に取得した普通免許でも運転可能です。車両総重量が1t未満で、最大積載量も350kg程度と軽量です。
農業や建設業での資材運搬、個人の引っ越しなどで活用されています。
1トントラック
1tトラックも、ほとんどの普通免許で運転可能です。車両総重量が3t程度で、最大積載量は1t前後となります。
宅配業務や小規模な配送業務でよく使われており、普通免許でできる運送業務の中心的な車両です。
商用バン・軽貨物車
商用バンや軽貨物車も普通免許で運転できます。荷室が広く設計されており、宅配や配送業務に適しています。
個人事業主として軽貨物運送業を始める際によく選ばれる車両です。
普通免許だけでは足りない?より大きなトラックを運転するには
普通免許で運転できるトラックには限界があります。より大きなトラックを運転して収入アップを目指すなら、上位の免許取得が必要です。
準中型免許で広がる可能性
準中型免許は、普通免許の次のステップとして位置づけられています。
2〜4.5トンまでのトラックが運転可能
準中型免許では、車両総重量7.5t未満、最大積載量4.5t未満の車両を運転できます。これにより、2tトラックや3tトラックの運転が可能になります。
個人向けの宅配業務や冷凍車、建築資材用のトラックなど、仕事の幅が大きく広がります。
取得条件と費用
準中型免許の取得には、18歳以上であることが条件です。費用は約18〜44万円程度かかります。
自動車教習所を卒業後、運転免許試験場で本試験を受験して合格する必要があります。
中型免許で中型トラックデビュー
中型免許を取得すると、さらに大きなトラックの運転が可能になります。
4.5〜6.5トンまでのトラックが対象
中型免許では、車両総重量7.5t以上11t未満、最大積載量4.5t以上6.5t未満の車両を運転できます。4tトラックや6tトラックが該当し、ダンプやミキサー車の運転も可能です。
運送業界での需要が高く、給与アップにつながりやすい免許です。
実務経験の必要性
中型免許の取得には、20歳以上で準中型・普通・大特免許のいずれかを取得してから通算2年以上の経験が必要です。
費用は約10〜14万円程度で、自動車教習所に通って技能卒業試験に合格する必要があります。
大型免許で本格的なトラックドライバーに
大型免許は、トラックドライバーとしての最高峰の資格です。
6.5トン以上の大型車両
大型免許では、車両総重量11t以上、最大積載量6.5t以上の車両を運転できます。トラックだけでなく、ダンプカーやタンクローリーなどの大型車両の運転が可能です。
長距離輸送や幹線輸送での活躍が期待でき、トラックドライバーとしてのキャリアの頂点と言えるでしょう。
高収入につながる可能性
大型免許を持つドライバーは需要が高く、給与水準も高めに設定されています。長距離運転手として全国を回る仕事や、大型貨物を運ぶ専門的な仕事に就くことができます。
取得には21歳以上で、準中型・普通・大特免許のいずれかを取得してから通算3年以上の経験が必要です。
トラックドライバーに有効な資格7選
トラックドライバーとして活躍するには、運転免許以外にも様々な資格が役立ちます。これらの資格を取得することで、仕事の幅が広がり、給与アップにもつながります。
1. フォークリフト運転技能者
フォークリフト運転技能者は、トラックドライバーにとって最も実用的な資格の一つです。
荷物の積み降ろしに必須
フォークリフトは、重い荷物を効率的に積み降ろしするために欠かせない機械です。倉庫や工場での荷役作業では、フォークリフトの操作ができることが求められます。
この資格があることで、単なる運転だけでなく、荷役作業まで一貫して担当できるようになります。
合格率98%以上で取得しやすい
フォークリフト運転技能者の合格率は98%以上と非常に高く、取得しやすい資格です。講習をしっかり受ければ、ほぼ確実に合格できます。
2〜5日の講習で取得可能
講習期間は2〜5日程度と短期間で、忙しいドライバーでも取得しやすいのが特徴です。費用も比較的安価で、コストパフォーマンスの高い資格と言えるでしょう。
2. 玉掛作業者
玉掛作業者は、クレーンを使った荷役作業に必要な資格です。
クレーン付きトラックで活躍
クレーン付きトラック(ユニック車)を使った作業では、玉掛作業者の資格が必要です。建設現場や工場での重量物の運搬・設置作業で重宝されます。
建設現場での需要が高い
建設業界では玉掛作業者の需要が非常に高く、この資格を持つドライバーは重宝されます。建設資材の運搬から設置まで一貫して担当できるため、付加価値の高い仕事ができます。
18歳以上なら誰でも受験可能
玉掛作業者の受験資格は18歳以上と、比較的取得しやすい条件です。講習を受けて技能試験に合格すれば資格を取得できます。
3. 危険物取扱者(乙種第4類)
危険物取扱者は、特殊な貨物を運搬する際に必要な資格です。
タンクローリー運転手に必要
ガソリンや灯油などの危険物を運搬するタンクローリーの運転手には、危険物取扱者の資格が必須です。石油関連の輸送業務に携わりたい場合は、ぜひ取得しておきたい資格です。
ガソリン・灯油類の運搬
乙種第4類では、ガソリン、灯油、軽油、重油などの引火性液体を取り扱えます。これらの物質は日常生活に欠かせないものであり、安定した需要があります。
マークシート式で取得可能
危険物取扱者の試験はマークシート式で、しっかりと勉強すれば合格できます。化学の基礎知識が必要ですが、参考書や問題集を使って独学でも十分対応可能です。
4. けん引免許
けん引免許は、トレーラーなどの大型車両を運転するために必要な資格です。
トレーラー運転手への道
けん引免許を取得すると、トレーラーやトラクターヘッドを使った大型輸送が可能になります。コンテナ輸送や大型貨物の長距離輸送など、専門性の高い仕事に就けます。
高収入案件が豊富
トレーラー運転手は技術的な難易度が高いため、給与水準も高めに設定されています。長距離輸送や港湾での コンテナ輸送など、高収入が期待できる案件が豊富です。
ドライバーキャリアの最終段階
けん引免許は、トラックドライバーとしてのキャリアの最終段階と言えるでしょう。大型免許と組み合わせることで、あらゆる車両を運転できるようになります。
5. 運行管理者
運行管理者は、ドライバーから管理職へのステップアップに役立つ資格です。
ドライバーから管理職へのステップアップ
運行管理者の資格を取得すると、ドライバーとしての経験を活かして管理業務に携わることができます。運行計画の作成や安全管理、労働時間管理などを担当します。
どこでも重宝される資格
運送会社では運行管理者の配置が法的に義務付けられているため、この資格を持つ人材はどこでも重宝されます。転職時にも有利な資格です。
安全管理のスペシャリスト
運行管理者は、ドライバーの安全管理や法令遵守を監督する重要な役割を担います。運送業界の安全性向上に貢献できる、やりがいのある仕事です。
6. 小型移動式クレーン
小型移動式クレーンは、建設現場での作業に役立つ資格です。
ユニック車の操作に必要
小型移動式クレーンの資格があると、ユニック車(クレーン付きトラック)のクレーン部分を操作できます。建設資材の運搬と設置を一人で行えるため、効率的な作業が可能です。
玉掛作業者とセットで取得
小型移動式クレーンと玉掛作業者の資格をセットで取得すると、クレーン作業を一貫して担当できます。建設現場での需要が高い組み合わせです。
建設・土木業界で活躍
建設・土木業界では、重量物の運搬と設置が日常的に行われます。この資格があることで、より専門性の高い仕事に携わることができます。
7. 倉庫管理主任者
倉庫管理主任者は、物流業界でのキャリアアップに役立つ資格です。
物流倉庫での管理業務
倉庫管理主任者の資格を取得すると、物流倉庫での管理業務に携わることができます。在庫管理や入出庫管理、品質管理などを担当します。
在庫管理のプロフェッショナル
現代の物流業界では、効率的な在庫管理が重要視されています。倉庫管理主任者は、在庫管理のプロフェッショナルとして活躍できます。
物流業界でのキャリアアップ
ドライバーとしての経験を活かして、物流業界の管理職へとキャリアアップできます。現場を知る管理者として、重宝される存在になるでしょう。
資格取得で得られるメリット
資格を取得することで、様々なメリットが得られます。給与面での向上だけでなく、キャリアの選択肢も大きく広がります。
給与アップにつながる資格手当
多くの運送会社では、資格に応じて資格手当が支給されます。
大型免許手当の相場
大型免許を持つドライバーには、月額1万円〜3万円程度の手当が支給されることが多いです。年間にすると12万円〜36万円の収入アップになります。
危険物手当の実例
危険物取扱者の資格を持つドライバーには、月額5千円〜1万円程度の手当が支給されます。タンクローリーの運転手として働く場合は、さらに高額な手当が期待できます。
複数資格による相乗効果
複数の資格を組み合わせることで、手当の相乗効果が期待できます。例えば、大型免許とフォークリフト、危険物取扱者を組み合わせると、月額3万円以上の手当が支給される場合もあります。
仕事の選択肢が大幅に広がる
資格を取得することで、応募できる求人の幅が大きく広がります。
運転できる車両の種類が増える
上位の運転免許を取得することで、運転できる車両の種類が増えます。軽トラックから大型トラック、トレーラーまで、あらゆる車両を運転できるようになります。
対応できる荷物の幅が広がる
危険物取扱者やフォークリフト運転技能者などの資格を取得すると、対応できる荷物の種類が広がります。一般貨物から危険物、重量物まで、様々な輸送業務に対応できます。
転職時の有利さ
資格を多く持っていることで、転職時に有利になります。即戦力として評価され、より良い条件での転職が可能になるでしょう。
将来的なキャリアアップの可能性
資格取得は、将来のキャリアアップにも大きく影響します。
ドライバーから管理職へ
運行管理者や倉庫管理主任者などの資格を取得することで、ドライバーから管理職へのキャリアアップが可能になります。現場経験を活かした管理者として活躍できます。
独立開業への道筋
複数の資格と豊富な経験を積むことで、将来的に独立開業する道も開けます。軽貨物運送業や運送会社の経営など、様々な選択肢があります。
専門性を活かした転職
特定の分野に特化した資格を取得することで、その分野の専門家として転職することも可能です。例えば、危険物輸送の専門家や重量物輸送の専門家として活躍できます。
資格取得をサポートしてくれる運送会社を選ぼう
資格取得には費用と時間がかかります。資格取得を支援してくれる運送会社を選ぶことで、効率的にスキルアップできます。
入社後の資格取得支援制度
多くの運送会社では、従業員の資格取得を支援する制度を設けています。
費用負担してくれる会社の探し方
資格取得支援制度がある会社を探すには、求人情報をよく確認することが大切です。「資格取得支援制度あり」「免許取得費用会社負担」などの記載がある会社を選びましょう。
面接時に具体的な支援内容を確認することも重要です。
研修制度が充実した企業
資格取得だけでなく、研修制度が充実した企業を選ぶことも大切です。安全運転研修や接客研修など、総合的なスキルアップができる環境を選びましょう。
資格取得中の給与保障
資格取得期間中の給与保障がある会社を選ぶと安心です。教習所に通っている間も収入が確保されるため、経済的な不安なく資格取得に集中できます。
求人情報の見極めポイント
良い運送会社を見つけるには、求人情報の見極めが重要です。
必要資格の明記があるか
求人情報に必要な資格が明記されているかを確認しましょう。「普通免許でOK」「資格取得支援あり」など、具体的な記載がある会社は信頼できます。
資格手当の有無
資格手当の有無と金額が明記されているかも重要なポイントです。資格を取得するメリットが明確に示されている会社を選びましょう。
キャリアアップ制度の充実度
将来的なキャリアアップの道筋が示されているかも確認しましょう。ドライバーから管理職への昇進制度や、独立支援制度がある会社は魅力的です。
普通免許からはじめるトラックドライバーへの道のり
普通免許しか持っていなくても、段階的にスキルアップしていくことで、本格的なトラックドライバーになることができます。
まずは軽貨物ドライバーからスタート
普通免許でできる仕事から始めて、経験を積んでいきましょう。
個人事業主として独立も可能
軽貨物運送業は、比較的少ない初期投資で始められる事業です。普通免許と軽トラックがあれば、個人事業主として独立することも可能です。
宅配業務や企業間配送など、様々な仕事があります。
宅配・配送業務の経験を積む
宅配や配送業務を通じて、運送業界の基本的な知識と技術を身につけましょう。顧客対応や荷物の取り扱い、配送ルートの最適化など、様々なスキルが身につきます。
運転技術と業界知識を身につける
日々の業務を通じて、運転技術と業界知識を身につけていきましょう。安全運転の技術や効率的な配送方法、法令遵守の重要性など、トラックドライバーに必要な基礎を学べます。
ステップアップのタイミング
経験を積んだら、次のステップを考えましょう。
準中型免許取得の目安
軽貨物ドライバーとして1〜2年の経験を積んだら、準中型免許の取得を検討しましょう。より大きな車両を運転できるようになり、仕事の幅が広がります。
経験年数と技術レベル
免許取得のタイミングは、経験年数だけでなく技術レベルも考慮しましょう。安全運転に自信が持てるようになったら、上位免許にチャレンジする時期です。
収入アップの計画
資格取得による収入アップの計画を立てましょう。投資した費用を何年で回収できるか、将来的にどの程度の収入アップが見込めるかを計算してみてください。
長期的なキャリア設計
トラックドライバーとしての長期的なキャリアを設計しましょう。
5年後・10年後の目標設定
5年後、10年後にどのような立場で働いていたいかを明確にしましょう。大型トラックの運転手になりたいのか、管理職を目指すのか、独立したいのかによって、取得すべき資格が変わります。
専門分野の選択
運送業界には様々な専門分野があります。一般貨物、危険物輸送、重量物輸送、冷凍・冷蔵輸送など、自分の興味や適性に合った分野を選びましょう。
管理職への転身時期
将来的に管理職を目指すなら、運行管理者などの資格取得を計画しましょう。現場経験を十分に積んだ後、管理職への転身を図ることで、より安定したキャリアを築けます。
まとめ:普通免許でもトラックドライバーになれる
今回の記事では、普通免許でのトラック運転の可能性から、キャリアアップに役立つ資格まで幅広く解説しました。以下に要点をまとめます。
- 普通免許でもトラックの運転は可能だが、取得時期によって運転できる車両が異なる
- 平成29年3月12日以降の普通免許では車両総重量3.5t未満まで運転可能
- より大きなトラックを運転するには準中型・中型・大型免許が必要
- フォークリフトや玉掛作業者など7つの資格がトラックドライバーに有効
- 資格取得により給与アップや転職時の有利さが期待できる
- 資格取得支援制度がある運送会社を選ぶことが重要
- 普通免許から段階的にスキルアップしていくことで本格的なドライバーになれる
普通免許しか持っていなくても、トラックドライバーへの道は開かれています。まずは自分の免許で運転できる車両から始めて、徐々にスキルアップしていきましょう。
資格取得には時間と費用がかかりますが、将来への投資として考えれば決して無駄にはなりません。自分のキャリアプランに合わせて、計画的に資格取得を進めてください。























