特車とは何なのか?特殊車両通行許可を得るために必要な情報6項目

Man driving a crane to lift-up some equipments


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トラックドライバーや配達業、物流関係者の皆さんにとって、特車という言葉は日常的に耳にするものですが、その正確な意味や手続きについて詳しく知っている方は意外と少ないかもしれません。

特車とは「特殊車両」の略称で、道路法で定められた基準を超える大きさや重さを持つ車両のことを指します。これらの車両が公道を走行するためには、特殊車両通行許可という手続きが必要になります。

許可を取らずに走行すると法律違反となり、罰則を受ける可能性があります。また、適切な手続きを踏まないと、運送スケジュールに大きな支障をきたすことも。

この記事では、特車の基本的な定義から、通行許可を得るために必要な6つの情報まで、現場で働く皆さんが知っておくべき内容を分かりやすく解説していきます。複雑に思える手続きも、ポイントを押さえれば決して難しくありません。

特車って何?運送業界で働く人が知っておきたい基本のき

特車について理解するためには、まず正式な名称と定義を知ることが大切です。現場で働いていると「特車」という言葉は頻繁に使われますが、その背景にある法的な意味合いを理解しておくと、なぜ許可が必要なのかがよく分かります。

特車の正式名称は「特殊車両」

特車は「特殊車両」の略称で、道路法に基づいて定義されています。この法律では、車両の構造が特殊であったり、運搬する貨物が特殊であったりする車両を特殊車両と呼んでいます。

つまり、普通の乗用車やトラックとは異なる特別な車両ということです。建設現場で見かけるクレーン車や、大型の機械を運ぶトレーラーなどがその代表例。

正式名称を知っておくことで、法的な書類や手続きの際に混乱することがなくなります。

どんな車が特車に該当するの?

特車に該当する車両は、大きく分けて2つのタイプがあります。まず、車両の構造そのものが特殊なもの。そして、運搬する貨物が特殊なものです。

構造が特殊な車両には、トラッククレーンなどの自走式建設機械や、各種トレーラー連結車があります。これらは車両自体の形や機能が一般的な車とは大きく異なるため、特車として扱われます。

一方、貨物が特殊な場合は、分割できない大型機械や電車の車体、大型発電機などを運ぶ際に特車扱いとなります。荷物の性質上、どうしても大きなサイズや重量になってしまうケースですね。

一般的制限値を超えると特車扱いになる理由

道路は、一定の重量や寸法の車両が安全に通行できるよう設計されています。この基準を「一般的制限値」と呼び、これを超える車両は道路の構造や他の交通に支障をきたす可能性があるため、特車として扱われます。

なぜこのような制限があるのでしょうか。重すぎる車両が頻繁に通行すると、道路にひび割れや損傷が生じてしまいます。また、大きすぎる車両は他の車の通行を妨げたり、交通事故の原因となったりする恐れがあります。

そのため、道路の保全と交通安全を確保するために、基準を超える車両には特別な許可が必要とされているのです。

特車が道路を走るときに守らなければいけないルール

特車が公道を走行する際には、一般的な車両とは異なる特別なルールが適用されます。これらのルールは、道路の安全性を保ち、他の交通に迷惑をかけないために設けられています。

道路法第47条の2で定められた通行許可制度

特車の通行に関するルールは、道路法第47条の2で詳しく定められています。この法律により、一般的制限値を超える車両は、道路管理者から事前に通行許可を得なければならないとされています。

許可制度が設けられている理由は明確です。特車は道路や橋梁に大きな負荷をかける可能性があるため、事前に安全性を確認し、必要に応じて通行条件を設定する必要があるからです。

この制度により、道路の構造保全と交通安全の両方が確保されています。運送業界で働く皆さんにとっては手続きが必要になりますが、安全な運行のためには欠かせない仕組みなのです。

許可なしで走ると法律違反になってしまう

特車を許可なしで通行させた場合、道路法違反として罰則が科せられます。この罰則は運転手だけでなく、運送会社や荷主にも適用される可能性があります。

具体的な罰則内容は重く、罰金だけでなく車両の運行停止処分を受ける場合もあります。また、違反が発覚すると運送業の許可にも影響を与える可能性があり、事業継続に大きな支障をきたすことも。

そのため、特車を運行する際は必ず事前に適切な許可を取得することが重要です。「バレなければ大丈夫」という考えは非常に危険で、結果的に大きな損失を招く可能性があります。

道路の構造を守るための大切な仕組み

通行許可制度は、単なる規制ではなく、道路インフラを長期的に維持するための重要な仕組みです。日本の道路は膨大な建設費用をかけて整備されており、これらを適切に保全することは社会全体の利益につながります。

特車による道路の損傷が蓄積すると、補修費用が増大し、最終的には税金として国民全体が負担することになります。また、道路の損傷は交通事故の原因にもなりかねません。

許可制度を通じて適切な管理を行うことで、道路の寿命を延ばし、安全な交通環境を維持できるのです。運送業界の皆さんにとっても、長期的には良好な道路環境の恩恵を受けることができます。

一般的制限値の詳細|これを超えたら特車です

特車かどうかを判断する基準となる一般的制限値について、具体的な数値を詳しく見ていきましょう。これらの数値を正確に把握しておくことで、自分が運転する車両が特車に該当するかどうかを適切に判断できます。

車両の幅は2.5メートルまで

車両の幅に関する制限値は2.5メートルです。この数値を超える車両は、すべて特車として扱われます。

幅の測定は、車両の最も幅の広い部分で行われます。荷物を積載している場合は、その荷物も含めた全体の幅で判断されるため注意が必要です。

例えば、建設機械を運ぶ際に機械の一部が車体からはみ出している場合、その部分も含めて幅を測定します。わずかでも2.5メートルを超えれば特車扱いとなるため、事前の確認が重要です。

長さの制限は12.0メートル

車両の長さについては、12.0メートルが制限値となっています。この長さを超える車両は特車として許可が必要になります。

長さの測定は、車両の前端から後端までの距離で行われます。トレーラーの場合は、牽引車とトレーラーを連結した状態での全長で判断されます。

長い車両は交差点での右左折時に内輪差が大きくなったり、駐車場での取り回しが困難になったりするため、特別な注意が必要とされています。

高さは3.8メートル(指定道路では4.1メートル)

高さの制限値は、一般道路では3.8メートル、高さ指定道路では4.1メートルとなっています。この違いを理解しておくことが重要です。

高さの測定は、地面から車両の最も高い部分までの距離で行われます。荷物を積載している場合は、その荷物の高さも含めて測定されます。

高さ制限は特に橋梁やトンネルの通行に関わる重要な要素です。制限値を超える車両が無理に通行しようとすると、構造物に衝突する危険性があります。

総重量の制限は車軸数によって変わる

総重量の制限値は、車両の車軸数によって異なる設定となっています。この仕組みを理解することで、適切な判断ができるようになります。

2軸車は20.0トン

2軸車の場合、総重量の制限値は20.0トンです。ただし、高速道路や重さ指定道路では25.0トンまで認められています。

2軸車は最も一般的な大型トラックの形態で、多くの運送業務で使用されています。積載量を計算する際は、車両重量と積荷の重量を合計して判断する必要があります。

重量オーバーは道路への負荷が大きく、特に橋梁への影響が懸念されるため、厳格な管理が求められています。

3軸車は25.0トン

3軸車の総重量制限値は25.0トンです。車軸が増えることで重量を分散できるため、2軸車よりも重い荷物を運ぶことができます。

3軸車は中型から大型の運送業務で広く使用されており、効率的な輸送を可能にしています。ただし、制限値を超える場合は特車許可が必要になります。

車軸数と重量の関係を理解することで、より効率的な車両選択と運行計画が立てられるようになります。

4軸車以上の場合

4軸車以上の場合、車軸数に応じてより重い荷物を運ぶことができますが、詳細な計算が必要になります。隣接する車軸の間隔や個々の車軸にかかる重量なども考慮されます。

複数軸の車両は大型トレーラーなどで使用されることが多く、専門的な知識が必要になる場合があります。不明な点がある場合は、専門家に相談することをおすすめします。

軸重は10.0トンまで

軸重とは、1つの車軸にかかる重量のことで、制限値は10.0トンです。総重量が制限値内であっても、特定の車軸に重量が集中している場合は問題となります。

軸重の管理は、道路への局所的な負荷を防ぐために重要です。重量が一箇所に集中すると、その部分の道路が損傷しやすくなります。

荷物の積載方法や車両の設計によって軸重は変わるため、適切な重量配分を心がける必要があります。

輪荷重は5.0トンまで

輪荷重は、1つの車輪にかかる重量で、制限値は5.0トンです。これは道路表面への直接的な負荷を制限するための基準です。

輪荷重が大きすぎると、道路表面にくぼみや亀裂が生じやすくなります。特にアスファルト舗装では、高温時に変形が起こりやすくなります。

タイヤの空気圧や荷重配分によって輪荷重は変化するため、適切な車両整備と積載方法が重要になります。

最小回転半径は12.0メートル

最小回転半径は、車両が最小の円を描いて回転する際の半径で、制限値は12.0メートルです。この値を超える車両は、交差点での右左折が困難になる可能性があります。

回転半径が大きい車両は、狭い道路や交差点での通行に支障をきたす可能性があります。また、他の車両の通行を妨げる原因にもなりかねません。

車両の設計や連結方法によって回転半径は決まるため、事前に確認しておくことが重要です。

特車に分類される車両の種類を知っておこう

特車として分類される車両には、さまざまな種類があります。これらを理解することで、自分が扱う車両が特車に該当するかどうかを正確に判断できるようになります。

車両の構造が特殊なタイプ

車両の構造そのものが特殊な場合、一般的制限値を超えやすい設計となっています。これらの車両は、その機能を果たすために特別な形状や大きさが必要とされています。

トラッククレーンなどの自走式建設機械

トラッククレーンは、クレーン機能を持つ特殊な車両で、その構造上どうしても高さや重量が一般的制限値を超えてしまいます。建設現場では欠かせない車両ですが、公道を走行する際は特車許可が必要です。

他にも、コンクリートポンプ車や高所作業車なども同様に、その機能を果たすために特殊な構造を持っています。これらの車両は作業時だけでなく、移動時も特車として扱われることが多いです。

自走式建設機械を運用する際は、事前に車両の諸元を確認し、適切な許可を取得することが重要です。

トレーラ連結車の特例5車種

トレーラ連結車の中でも、特に使用頻度の高い5つの車種については「特例5車種」として分類され、一定の条件下で制限が緩和されています。

バン型セミトレーラは箱型の荷物室を持つ車両で、一般的な貨物輸送に広く使用されています。タンク型セミトレーラは液体や粉粒体の運搬に特化した構造を持っています。

これらの車種は物流業界で重要な役割を果たしているため、特別な配慮がなされています。ただし、完全に制限が免除されるわけではないため、注意が必要です。

あおり型・スタンション型・船底型の追加3車種

特例5車種に加えて、あおり型、スタンション型、船底型の3車種も特別な扱いを受けています。これらは「追加3車種」と呼ばれています。

あおり型セミトレーラは、荷台の周囲にあおりを設けた構造で、建設資材などの運搬に使用されます。スタンション型は長尺物の運搬に適した構造を持っています。

船底型セミトレーラは、荷台の底部が船底のような形状になっており、粉粒体などの運搬に適しています。これらの車種も物流業界では重要な役割を担っています。

運ぶ荷物が特殊なタイプ

車両自体は一般的な構造でも、運搬する荷物が特殊な場合は特車として扱われます。これは荷物の性質上、どうしても大きなサイズや重量になってしまうためです。

分割できない大型機械

工場で使用される大型機械や発電設備など、分割して運搬することができない荷物を運ぶ場合は特車扱いとなります。これらの荷物は、その機能を維持するために一体として運搬する必要があります。

例えば、大型の工作機械や化学プラントの設備などは、分解すると再組み立てが困難になったり、精度が保てなくなったりする可能性があります。

このような荷物を運搬する際は、荷物の寸法や重量を正確に把握し、適切な車両と許可を選択することが重要です。

電車の車体や電柱など

鉄道車両の車体や電柱、大型の橋梁部材などは、その用途上長大な形状を持っているため、通常の車両では運搬できません。

これらの荷物は社会インフラの整備に欠かせないものですが、運搬時は特別な配慮が必要です。通行経路の選定や時間帯の制限など、厳しい条件が付けられることもあります。

運搬計画を立てる際は、荷物の特性を十分に理解し、安全で効率的な方法を選択することが求められます。

大型発電機などの重量物

大型発電機や変圧器などの重量物は、その重量が一般的制限値を大幅に超えることがあります。これらの機器は電力インフラに欠かせないものですが、運搬時は特別な注意が必要です。

重量物の運搬では、車両の選定だけでなく、通行する道路や橋梁の耐荷重も考慮する必要があります。場合によっては、特別な補強工事が必要になることもあります。

このような運搬を行う際は、専門的な知識と経験が必要になるため、実績のある運送会社に依頼することが重要です。

特殊車両通行許可を取るために必要な6つの情報

特殊車両通行許可を申請する際に必要となる情報は、大きく6つのカテゴリに分けることができます。これらの情報を事前に整理しておくことで、スムーズな申請手続きが可能になります。

1. 特殊車両通行許可申請書の準備

申請の基本となるのが、特殊車両通行許可申請書です。これは様式第1と様式第2の2つの書類から構成されており、車両や運行に関する基本情報を記載します。

様式第1では申請者の情報や車両の基本データを記入し、様式第2では具体的な通行条件や経路について詳しく記載します。記入漏れや誤記があると審査に時間がかかるため、慎重に作成する必要があります。

申請書は国土交通省のウェブサイトからダウンロードできるほか、各道路管理者の窓口でも入手可能です。記入方法が分からない場合は、事前に相談することをおすすめします。

2. 車両に関する詳しい情報

申請には、使用する車両に関する詳細な情報が必要です。これらの情報は、車両が道路を安全に通行できるかどうかを判断するために使用されます。

車検証の写し

車検証は車両の基本情報を証明する重要な書類です。車両の所有者、使用者、車種、寸法、重量などの情報が記載されており、申請時には必ず提出が求められます。

車検証の写しを提出する際は、記載内容が鮮明に読み取れることを確認してください。不鮮明な場合は再提出を求められることがあります。

また、車検証の有効期限も確認しておく必要があります。期限切れの車検証では申請できないため、事前に更新手続きを済ませておきましょう。

車両諸元に関する説明書

車両諸元に関する説明書は、車検証だけでは分からない詳細な車両情報を記載した書類です。車両の構造や機能、特殊な装置の有無などが詳しく説明されています。

この書類には、車両の外観図や主要寸法、重量配分などが含まれます。特に特殊な構造を持つ車両の場合、詳細な図面や写真の添付が求められることもあります。

メーカーから提供される資料を活用するか、専門業者に作成を依頼することが一般的です。正確な情報を記載することが、スムーズな審査につながります。

軌跡図(必要な場合のみ)

軌跡図は、車両が交差点などを通行する際の軌跡を示した図面です。超寸法車両や道路管理者から特に求められた場合に提出が必要になります。

軌跡図では、車両の前端、後端、内輪、外輪の軌跡が詳細に描かれます。これにより、狭い交差点や曲がり角を安全に通行できるかどうかが判断されます。

軌跡図の作成には専門的な知識が必要なため、多くの場合は専門業者に依頼することになります。費用はかかりますが、正確な図面を作成することが重要です。

3. 通行する経路の情報

申請では、具体的にどの道路を通行するかを明確にする必要があります。経路に関する情報は、道路管理者が通行の可否を判断するために重要な要素となります。

通行経路表の作成

通行経路表は、出発地から目的地までの詳細な経路を記載した表です。通行する道路名、距離、所要時間などが詳しく記載されます。

経路の選定では、車両の寸法や重量に適した道路を選ぶことが重要です。狭い道路や重量制限のある橋梁は避ける必要があります。

複数の経路が考えられる場合は、最も安全で効率的な経路を選択し、その理由も併せて記載することが求められる場合があります。

経路図の準備

経路図は、通行経路を地図上に示した図面です。出発地から目的地までの経路が一目で分かるように作成する必要があります。

地図は縮尺が適切で、道路名や主要な目印が明確に記載されているものを使用します。手書きでも構いませんが、読みやすさを重視することが大切です。

最近では、インターネットの地図サービスを利用して経路図を作成することも可能です。ただし、印刷時の画質や縮尺に注意が必要です。

出発地と目的地の地図

出発地と目的地の詳細な地図も必要になります。これらの地図では、具体的な住所や建物名、周辺の道路状況などが分かるようにする必要があります。

特に、出発地や目的地が工場や建設現場などの場合は、敷地内の道路状況や車両の出入り方法についても説明が求められることがあります。

地図の縮尺は、周辺の道路状況が十分に把握できる程度に設定することが重要です。

4. 申請データの記録媒体

オンライン申請システムを利用する場合でも、申請データを記録した媒体の提出が求められることがあります。これは、申請内容の確認や記録保存のために必要とされています。

記録媒体には、申請書類のデータファイルや関連する図面、写真などが含まれます。データの形式や容量については、各道路管理者の指定に従う必要があります。

データの破損や読み取りエラーを防ぐため、複数の媒体に保存しておくことをおすすめします。

5. 車両内訳書(複数台申請の場合)

複数の車両について一括して申請する包括申請の場合は、車両内訳書の提出が必要になります。この書類では、申請対象となる全ての車両の詳細情報を一覧表形式で記載します。

車両内訳書には、各車両の登録番号、車種、寸法、重量などが詳しく記載されます。車両ごとに異なる仕様がある場合は、それぞれの違いを明確に示す必要があります。

包括申請は効率的な手続き方法ですが、書類の作成には時間がかかるため、余裕を持って準備することが大切です。

6. その他道路管理者から求められる書類

上記の基本的な書類に加えて、道路管理者から追加の書類提出を求められる場合があります。これは、車両や通行経路の特殊性に応じて必要とされるものです。

例えば、新規開発車両の場合は適合証明書が必要になったり、特殊な荷物を運搬する場合は荷物に関する詳細資料が求められたりします。

また、過去に同様の申請を行った経験がある場合は、その際の許可証や実績報告書の提出を求められることもあります。

申請の流れと許可が下りるまでの期間

特殊車両通行許可の申請から許可証交付までの流れを理解しておくことで、計画的な手続きが可能になります。各段階での注意点も併せて確認しておきましょう。

申請書類を揃える段階

申請手続きの第一歩は、必要な書類を漏れなく揃えることです。前述した6つの情報を基に、各種書類を準備していきます。

書類の準備には意外と時間がかかるものです。特に、車両諸元に関する説明書や軌跡図などは専門業者に依頼する場合があり、作成に数日から数週間を要することもあります。

書類の不備は審査の遅延につながるため、提出前に内容を十分に確認することが重要です。可能であれば、事前に道路管理者に相談し、書類の妥当性を確認してもらうことをおすすめします。

道路管理者への提出方法

申請書類の提出方法には、オンライン申請と窓口申請の2つの方法があります。それぞれにメリットとデメリットがあるため、状況に応じて選択することが大切です。

オンライン申請は24時間いつでも手続きが可能で、書類の郵送が不要というメリットがあります。一方、窓口申請では担当者と直接相談しながら手続きを進められるため、不明な点がある場合は安心です。

どちらの方法を選択する場合でも、申請内容に間違いがないよう慎重に確認してから提出することが重要です。

審査にかかる時間の目安

特殊車両通行許可の審査期間は、申請内容の複雑さや道路管理者の業務状況によって異なります。一般的には、申請から許可証交付まで2週間から1か月程度の時間がかかります。

審査では、車両の安全性、通行経路の適切性、他の交通への影響などが総合的に検討されます。特に複雑な案件や初回申請の場合は、より長い時間を要することがあります。

審査期間中に追加資料の提出を求められることもあるため、迅速に対応できるよう準備しておくことが大切です。

許可証が交付されるまで

審査が完了し、通行が適切と判断された場合、許可証が交付されます。許可証には、通行条件や有効期間などが詳しく記載されています。

許可証を受け取ったら、記載内容を十分に確認し、条件を遵守して通行することが重要です。許可条件に違反した場合、許可の取り消しや罰則の対象となる可能性があります。

許可証は通行時に必ず携帯する必要があるため、紛失しないよう適切に管理することが大切です。

普通申請と包括申請の違いを理解しよう

特殊車両通行許可には、普通申請と包括申請の2つの申請方法があります。それぞれの特徴を理解し、状況に応じて適切な方法を選択することが重要です。

普通申請が向いているケース

普通申請は、特定の車両で特定の経路を通行する場合に適した申請方法です。1回限りの運搬作業や、不定期な特殊車両の運行に適しています。

例えば、建設現場への大型機械の搬入や、工場間での設備移設などの場合は普通申請が適しています。通行経路や時期が明確に決まっている場合に利用されます。

普通申請のメリットは、申請内容が具体的で分かりやすく、審査も比較的スムーズに進むことです。ただし、申請ごとに手続きが必要になるため、頻繁に特殊車両を運行する場合は効率的ではありません。

包括申請のメリットとデメリット

包括申請は、複数の車両や経路について一括して申請する方法です。定期的に特殊車両を運行する事業者にとって効率的な申請方法となります。

包括申請のメリットは、一度の申請で複数の車両や経路をカバーできることです。また、有効期間内であれば追加の申請なしに通行できるため、業務の効率化が図れます。

一方、デメリットとしては、申請書類の作成が複雑になることや、審査期間が長くなる可能性があることが挙げられます。また、申請時に想定していない車両や経路については別途申請が必要になります。

どちらを選ぶべきか判断するポイント

普通申請と包括申請のどちらを選ぶかは、事業の性質や特殊車両の運行頻度によって決まります。判断の際に考慮すべきポイントを整理しておきましょう。

まず、特殊車両の運行頻度を考えてみてください。月に数回以上の運行がある場合は、包括申請の方が効率的です。一方、年に数回程度の運行であれば、普通申請の方が適しています。

また、使用する車両の種類や通行経路の多様性も重要な判断要素です。決まった車両で決まった経路を通行する場合は包括申請が適していますが、都度異なる車両や経路を使用する場合は普通申請の方が柔軟に対応できます。

特車許可申請でよくある疑問と解決方法

特殊車両通行許可の申請に関して、現場でよく聞かれる疑問とその解決方法について説明します。これらの疑問を事前に解決しておくことで、スムーズな申請手続きが可能になります。

申請は誰がするべき?運送会社?荷主?

特殊車両通行許可の申請は、原則として車両の使用者が行います。しかし、実際の業務では運送会社と荷主のどちらが申請するかで迷うことがあります。

一般的には、車両を所有または管理している運送会社が申請を行うことが多いです。運送会社は車両の詳細な情報を把握しており、申請に必要な書類も揃えやすいためです。

ただし、荷主が特定の経路での運搬を指定している場合や、特殊な荷物の運搬に関する専門知識が必要な場合は、荷主が申請を行うこともあります。重要なのは、責任の所在を明確にしておくことです。

オンライン申請と窓口申請の違い

申請方法には、オンライン申請と窓口申請の2つの選択肢があります。それぞれの特徴を理解し、状況に応じて適切な方法を選択することが大切です。

オンライン申請は、インターネットを通じて24時間いつでも申請が可能です。書類の郵送が不要で、申請状況もリアルタイムで確認できるメリットがあります。

窓口申請は、道路管理者の担当者と直接相談しながら手続きを進められます。不明な点があれば その場で質問できるため、初回申請の場合は安心です。

複数の道路管理者にまたがる場合の手続き

特殊車両が複数の道路管理者の管轄する道路を通行する場合、手続きが複雑になることがあります。この場合の対応方法を理解しておくことが重要です。

国道、都道府県道、市町村道など、異なる管理者の道路を通行する場合は、それぞれの管理者に申請が必要になります。ただし、一括申請が可能な場合もあります。

最近では、複数の道路管理者間での連携が進んでおり、一つの窓口で複数の管理者への申請ができるシステムも整備されています。事前に確認しておくことをおすすめします。

許可条件が付いた場合の対応方法

特殊車両通行許可では、安全な通行を確保するために様々な条件が付けられることがあります。これらの条件を正しく理解し、遵守することが重要です。

よくある許可条件には、徐行義務、誘導車の配置、通行時間の制限などがあります。これらの条件は、道路の構造や交通状況に応じて設定されます。

条件の内容が不明な場合は、道路管理者に確認することが大切です。条件に違反した場合、許可の取り消しや罰則の対象となる可能性があります。

特車運行で気をつけたいポイント

特殊車両通行許可を取得した後も、実際の運行時には多くの注意点があります。これらのポイントを守ることで、安全で適法な運行が可能になります。

許可証は必ず携帯する

特殊車両を運行する際は、許可証を必ず車両に備え付けておく必要があります。これは道路法で義務付けられており、違反した場合は罰則の対象となります。

許可証は、道路管理者や警察官から提示を求められた際に、すぐに提示できるようにしておく必要があります。コピーではなく、原本を携帯することが原則です。

許可証を紛失した場合は、速やかに再交付の手続きを行う必要があります。紛失したまま運行を続けることは法律違反となるため、注意が必要です。

許可された経路以外は通行できない

特殊車両通行許可では、通行できる経路が具体的に指定されています。許可された経路以外を通行することは認められていません。

やむを得ず経路を変更する必要が生じた場合は、事前に道路管理者に相談し、必要に応じて変更申請を行う必要があります。緊急時であっても、無許可での経路変更は避けるべきです。

経路の確認は、運行前に必ず行うことが重要です。道路工事や交通規制により通行できない場合もあるため、最新の道路情報を確認しておきましょう。

通行時間の制限を守る

特殊車両の通行では、時間帯の制限が設けられることがあります。これは、交通量の多い時間帯を避けることで、他の交通への影響を最小限に抑えるためです。

夜間通行が指定されている場合は、指定された時間内に通行を完了する必要があります。時間に余裕を持った運行計画を立てることが重要です。

通行時間の制限に違反した場合、許可の取り消しや罰則の対象となる可能性があります。スケジュール管理を徹底し、制限時間を守るよう心がけましょう。

誘導車が必要な場合もある

特殊車両の寸法や重量によっては、誘導車の配置が義務付けられることがあります。誘導車は、安全な通行を確保するために重要な役割を果たします。

誘導車を運転する人は、特殊車両の誘導に関する講習を受けている必要があります。適切な資格を持った人が誘導車を運転することが法律で定められています。

誘導車の配置方法や運行方法についても、許可条件で詳しく指定されています。これらの条件を正確に理解し、遵守することが重要です。

まとめ|特車許可は運送業の基本ルール

今回の記事では、特車の基本的な定義から特殊車両通行許可を得るために必要な情報まで、運送業界で働く皆さんが知っておくべき内容を詳しく解説してきました。以下に要点をまとめます。

  • 特車とは「特殊車両」の略称で、道路法で定められた一般的制限値を超える車両のこと
  • 幅2.5m、長さ12.0m、高さ3.8m、総重量20.0t(車軸数により異なる)などの制限値がある
  • 許可なしで特車を運行すると道路法違反となり、罰則や運行停止処分を受ける可能性がある
  • 申請には申請書、車両情報、経路情報、データ記録媒体など6つの情報が必要
  • 普通申請と包括申請があり、運行頻度や業務内容に応じて選択する
  • 許可証の携帯、指定経路の遵守、時間制限の厳守が運行時の基本ルール

特殊車両通行許可は、道路の安全性を保ち、適切な物流を実現するための重要な制度です。手続きは複雑に感じるかもしれませんが、ポイントを押さえれば決して難しくありません。

運送業界で働く皆さんにとって、特車に関する正しい知識は業務を安全かつ効率的に進めるために欠かせません。不明な点がある場合は、道路管理者や専門家に相談することをおすすめします。



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