霊柩車の運転に免許は必要?霊柩車について知りたいこと4つと要件5つ!

霊柩車の運転に必要な免許について、気になっている方も多いのではないでしょうか。トラックドライバーや配達業に従事している方なら、霊柩車の運転手という仕事に興味を持つこともあるでしょう。

実は霊柩車の運転には、基本的に普通自動車免許があれば十分です。しかし、霊柩車事業を始めるには特別な許可が必要で、知っておくべき要件がいくつかあります。

この記事では、霊柩車の運転に必要な免許から、霊柩車の基本知識、そして事業を始めるための要件まで詳しく解説します。霊柩車について正しく理解して、新しいキャリアの選択肢として検討してみてください。

霊柩車の運転は普通免許だけで大丈夫?

霊柩車の運転について、多くの方が疑問に思うのが免許の種類です。タクシーやバスのように特別な免許が必要なのか、気になりますよね。

基本的には普通自動車免許があれば運転できる

霊柩車の運転に必要な免許は、基本的に普通自動車免許だけです。タクシーやバスの運転手のように第二種免許は必要ありません。

これは、ご遺体が法律上「人」ではなく「モノ」として扱われるためです。そのため、お客様を乗せる営業運転とは異なる扱いになります。

ただし、車両のサイズによっては中型免許や大型免許が必要になる場合もあります。一般的なバン型やリムジン型の霊柩車なら普通免許で運転できますが、大型のバス型霊柩車では大型免許が必要です。

第二種免許が必要になるケースとは?

基本的には第二種免許は不要ですが、例外的に必要になるケースがあります。

バス型の霊柩車でご遺族など複数の同乗者を運び、料金を取る場合には第二種免許が必要になることがあります。ただし、この判断は地域によって分かれることもあるため、運輸局に確認することをおすすめします。

通常の霊柩車運転では、ご遺族から運賃を取ることはないので、第二種免許を心配する必要はありません。

バス型霊柩車は大型免許が必要な場合も

霊柩車の種類によっては、普通免許以外の免許が必要になります。

乗車定員11人以上のバス型霊柩車を運転する場合は、大型第一種免許が必要です。また、車両総重量や最大積載量によっても必要な免許が変わってきます。

極端に長いリムジン型や、トレーラータイプなどの特殊な霊柩車では、牽引免許や大型特殊免許が必要になることもあります。

霊柩車について知りたいこと4つ

霊柩車について基本的なことを知っておくと、この仕事への理解が深まります。ここでは、霊柩車の基本知識から種類、利用方法まで詳しく説明していきます。

1. 霊柩車ってどんな車?特殊用途車両の基本知識

霊柩車は、ご遺体を運ぶための専用車両です。一般的な車両とは異なる特徴があります。

棺を運ぶための専用車両

霊柩車は、棺を安全に運ぶために特別に設計された車両です。荷室の大部分が棺専用のスペースになっており、棺を固定するための装置も備えています。

車内は常に清潔で厳かな雰囲気を保つ必要があり、定期的な清掃と点検が欠かせません。

8ナンバーの特種車両に分類される

霊柩車は道路運送車両法上、8ナンバーの特種用途車両に分類されます。これは、特定の用途に使用される車両であることを示しています。

8ナンバーの車両は、一般的な乗用車とは異なる車検や税金の扱いを受けます。

荷室は棺専用のスペースになっている

霊柩車の荷室は、棺を収納するための専用スペースとして設計されています。棺収納スペースの寸法は、長さ1.8m以上、幅0.5m以上、高さ0.5m以上という基準があります。

また、棺を安全に固定するための装置も必ず設置されています。

2. 霊柩車の種類は何種類ある?

霊柩車には、主に4つの種類があります。それぞれ異なる特徴と用途があります。

宮型霊柩車の特徴

宮型霊柩車は、神社や寺院の建物を模した装飾が特徴的な霊柩車です。屋根に金色の装飾が施され、非常に豪華な外観をしています。

以前は日本で主流でしたが、現在は減少傾向にあります。メンテナンスコストが高く、地域住民への配慮から使用を控える傾向があります。

洋型(リムジン型)霊柩車の特徴

洋型霊柩車は「リムジン型」とも呼ばれ、現在最も多く使用されている霊柩車です。クラウンやベンツ、ボルボなどの高級車をベースにしています。

外見は一般的な高級車に近く、一見して霊柩車とわからないものもあります。シンプルながら高級感があり、多くの葬儀で使用されています。

バン型霊柩車の特徴

バン型霊柩車は、一般的なワゴン車を改造したシンプルなタイプです。黒だけでなく白もあり、寝台車として使われることもあります。

コストが比較的安く、メンテナンスも簡単なため、小規模な葬儀社でよく使用されています。

バス型霊柩車の特徴

バス型霊柩車は、ご遺族も同乗できる大型の霊柩車です。乗車定員が多く、棺を載せる場所はバスの側部または後部に設けられています。

大規模な葬儀や、多くのご遺族が同行する場合に使用されます。

3. 霊柩車に乗れるのは誰?

霊柩車の乗車については、決まりがあります。誰でも乗れるわけではありません。

故人と親しい人のみが乗車

霊柩車は、故人と極めて親しい関係の方のみが乗車するのが通例です。荷室の大部分が棺専用のスペースになっているため、大人数は乗れません。

一般的には、運転手以外に2名程度が乗車できる設計になっています。

喪主や近しい親族が助手席に

通常は、遺影や骨壷を持った喪主、または近しい親族が霊柩車の助手席に乗ります。それ以外の親族は、マイクロバスなどで火葬場まで移動するのが一般的です。

大人数は乗れない理由

霊柩車は棺を運ぶことが第一の目的であり、乗車スペースは限られています。そのため、多くの人が乗車することはできません。

バス型霊柩車以外では、基本的に少人数での乗車となります。

4. 霊柩車はどこまで運んでくれる?

霊柩車の運行範囲についても、知っておくべきポイントがあります。

葬儀会場から火葬場まで(往路のみ)

霊柩車は、葬儀会場から火葬場へ行く往路のみの運行となります。自宅から葬儀会場までの搬送は、通常は寝台車が使用されます。

火葬場に到着すると、ご遺体を火葬場スタッフに引き継いで、霊柩車の役割は終了します。

帰りは別の交通手段を考えておく必要がある

火葬が終わってから葬儀場に戻るときや、火葬場から自宅に帰宅する際は、霊柩車に乗ることはできません。

そのため、火葬場からの移動方法については、事前に考えておく必要があります。多くの場合、マイクロバスやタクシーなどを利用します。

霊柩車事業を始めるための要件5つ

霊柩車事業を始めるには、一般貨物自動車運送事業の許可が必要です。個人でも法人でも、車両1台から申請できますが、満たすべき要件があります。

1. 場所的要件:営業所と車庫の確保

霊柩車事業を始めるには、適切な営業所と車庫を確保する必要があります。

営業所の設置基準

営業所は、事業を適切に運営できる場所に設置する必要があります。住宅専用地域では営業所を設置できないなど、都市計画法上の制限があります。

営業所には、事務所機能と休憩・仮眠室を備える必要があります。

車庫の確保と要件

車庫は、営業所から直線距離で2km以内(地域によっては5km以内)に確保する必要があります。車庫の面積は、車両1台あたり38㎡以上が必要です。

車庫は舗装されている必要があり、車両の出入りに支障がない構造でなければなりません。

2. 車両の要件:構造的な基準をクリア

霊柩車として使用する車両は、特定の構造基準を満たす必要があります。

棺収納スペースの寸法(長さ1.8m以上、幅0.5m以上、高さ0.5m以上)

霊柩車の棺収納スペースには、法律で定められた最小寸法があります。長さ1.8m以上、幅0.5m以上、高さ0.5m以上のスペースを確保する必要があります。

この寸法を満たさない車両は、霊柩車として使用できません。

棺を固定する装置の設置

棺を安全に運ぶため、棺を固定する装置の設置が義務付けられています。運転中に棺が動かないよう、しっかりと固定できる構造が必要です。

よく使われる車種(アルファード、エスティマなど)

霊柩車によく使われる車種には、トヨタのアルファードやエスティマ、日産のエルグランドなどがあります。これらの車種は、改造によって霊柩車の要件を満たしやすいためです。

高級車ベースのリムジン型では、クラウンやベンツなども使用されています。

3. 人的要件:必要な資格と人員

霊柩車事業を運営するには、適切な人員を確保する必要があります。

運行管理者の選任(5台以上の場合)

車両が5台以上の場合は、運行管理者の選任が必要です。運行管理者は、車両の運行を安全に管理する責任者です。

5台未満の場合は、運行管理者の資格は必要ありません。

整備管理者の選任

車両の整備を適切に管理するため、整備管理者の選任が必要です。ただし、5台未満の場合は資格要件が緩和されています。

ドライバーの確保

事業を運営するには、十分な数のドライバーを確保する必要があります。ドライバーは、適切な免許を持ち、霊柩車の運転に適した人物である必要があります。

4. 資金的要件:事業開始に必要な資金

霊柩車事業を始めるには、十分な資金を確保する必要があります。

車両購入費用

霊柩車の購入費用は、車種や仕様によって大きく異なります。中古車でも数百万円、新車では1000万円を超える場合もあります。

リース契約という選択肢もありますが、初期費用を抑えられる一方で、長期的なコストを考慮する必要があります。

運転資金の確保

事業開始後の運転資金も確保しておく必要があります。人件費、燃料費、保険料、税金などの運営費用を賄える資金が必要です。

一般的には、数ヶ月分の運営費用を確保しておくことが推奨されています。

5. 許可申請:一般貨物自動車運送事業の許可取得

霊柩車事業を始めるには、国土交通省の許可が必要です。

緑ナンバーの取得手続き

霊柩車事業を行うには、緑ナンバー(営業用ナンバー)を取得する必要があります。白ナンバーでの営業は違法行為となります。

緑ナンバーの取得には、一般貨物自動車運送事業の許可が前提となります。

運輸支局への申請方法

許可申請は、管轄の運輸支局に必要書類を提出して行います。事業計画書、車庫証明、資金面での残高証明など、様々な書類の準備が必要です。

申請から許可まで、通常3〜4ヶ月程度かかります。

法令試験の合格が必要

許可申請の過程で、法令試験の受験と合格が必要です。不合格となった場合は再試験となり、2回不合格だと申請却下になるため注意が必要です。

試験では、貨物自動車運送事業法や道路交通法などの知識が問われます。

霊柩車ドライバーの仕事内容と心構え

霊柩車ドライバーの仕事は、単なる運転業務ではありません。ご遺族の心情に配慮した特別な対応が求められます。

霊柩車ドライバーの日常業務

霊柩車ドライバーの1日は、車両の点検から始まります。

ご遺体の搬送業務

主な業務は、葬儀会場から火葬場までのご遺体の搬送です。棺を霊柩車に安置し、安全運転を心がけながら火葬場まで運びます。

搬送中は、ご遺族の心情に配慮した慎重な運転が求められます。急ブレーキや急カーブは避け、できるだけ滑らかな運転を心がけます。

ご遺族への配慮と接客

霊柩車ドライバーは、ご遺族との接触も多い仕事です。悲しみの中にあるご遺族に対して、適切な言葉遣いと態度で接する必要があります。

葬儀の流れについて質問を受けることもあるため、基本的な知識を身につけておくことが大切です。

車両の点検・整備

霊柩車は常に清潔で整った状態を保つ必要があります。毎日の点検と清掃は欠かせません。

車内の衛生状態が悪ければ、ご遺族の心を傷つける可能性があります。細かな配慮が求められる部分です。

求められるスキルと心構え

霊柩車ドライバーには、一般的なドライバーとは異なるスキルが求められます。

安全運転の徹底

何よりも安全運転が最優先です。ご遺体とご遺族を乗せているという責任の重さを常に意識する必要があります。

交通ルールの遵守はもちろん、天候や道路状況に応じた適切な運転技術が求められます。

ご遺族への適切な対応

ご遺族は深い悲しみの中にあります。そのような方々に対して、心からの敬意と配慮を示すことが大切です。

言葉遣いや態度、服装など、すべてにおいて品格を保つ必要があります。

厳粛な雰囲気を保つ姿勢

霊柩車ドライバーは、葬儀という厳粛な場面に関わる仕事です。常に真摯な態度で業務に取り組む姿勢が求められます。

私語を慎み、適切な距離感を保ちながら、プロフェッショナルとしての対応を心がけます。

霊柩車と寝台車の違いって何?

霊柩車と寝台車は、どちらもご遺体を運ぶ車両ですが、用途が異なります。

霊柩車と寝台車の使い分け

霊柩車と寝台車は、使用する場面が明確に分かれています。

霊柩車は葬儀後の搬送専用

霊柩車は、葬儀が終わった後に火葬場まで搬送するための車両です。棺に納められたご遺体を、厳粛な雰囲気の中で運びます。

葬儀会場から火葬場までの「最後の旅路」を担う、特別な意味を持つ車両です。

寝台車は病院からの搬送など

寝台車は、病院から自宅や葬儀会場までの搬送に使用されます。まだ棺に納められていないご遺体を、ストレッチャーに乗せて運びます。

外見は霊柩車よりもシンプルで、救急車に近い形状をしています。

それぞれの特徴と用途

霊柩車は厳粛で格式高い外観を持ち、葬儀という儀式の一部として使用されます。一方、寝台車は実用性を重視した設計で、迅速な搬送が主な目的です。

どちらも大切な役割を担っていますが、使用する場面と目的が異なります。

霊柩車事業の収入事情と将来性

霊柩車事業への転職を考える際、収入面も重要な検討材料です。

霊柩車ドライバーの年収相場

霊柩車ドライバーの年収は、おおむね300〜400万円程度が相場です。月収では20〜25万円ほどになります。

必要な免許が普通自動車免許だけであることから、年収水準はやや低めと言えます。ただし、経験を積んで運行管理者などの管理職にステップアップすれば、600万円以上の年収を得ることも可能です。

霊柩車事業の市場動向

日本は高齢化社会を迎えており、葬儀の需要は安定しています。そのため、霊柩車事業も安定した需要が見込まれます。

ただし、葬儀の簡素化や家族葬の増加など、業界の変化にも注意が必要です。

物流業界からの転職を考える際のポイント

物流業界で働いている方が霊柩車事業に転職する場合、運転技術は活かせますが、求められるスキルが大きく異なります。

接客スキルや礼儀作法、精神的な強さなど、新たに身につけるべき能力があることを理解しておきましょう。

まとめ:霊柩車の運転は普通免許で可能、事業には許可が必要

今回の記事では、霊柩車の運転に必要な免許から事業開始の要件まで詳しく解説しました。以下に要点をまとめます。

今回お伝えした内容を振り返ってみましょう。

  • 霊柩車の運転には基本的に普通自動車免許があれば十分
  • バス型など大型の霊柩車では大型免許が必要な場合もある
  • 霊柩車には宮型、洋型、バン型、バス型の4種類がある
  • 霊柩車に乗車できるのは故人と親しい人のみで大人数は乗れない
  • 霊柩車は葬儀会場から火葬場までの往路のみの運行
  • 霊柩車事業を始めるには一般貨物自動車運送事業の許可が必要
  • 事業開始には営業所、車庫、資金、人員、許可申請の5つの要件をクリアする必要がある

霊柩車ドライバーは、単なる運転業務ではなく、ご遺族の心情に寄り添う特別な仕事です。物流業界で培った運転技術を活かしながら、新たなキャリアとして検討してみてはいかがでしょうか。

霊柩車事業について更に詳しく知りたい方は、管轄の運輸支局や専門家に相談することをおすすめします。