レンタカー回送は本当にきつい?知っておきたいデメリットと注意点

Man buying the car. Businessman in a car salon

レンタカー回送の仕事について「きつい」という声をよく耳にします。運転が好きな人にとっては魅力的に見える仕事ですが、実際にはどのような大変さがあるのでしょうか。

この記事では、レンタカー回送ドライバーの仕事内容から、きついと言われる理由、そして対策まで詳しく解説していきます。これから回送の仕事を始めようと考えている方や、現在の仕事に悩んでいる方の参考になれば幸いです。

運送業界で働く皆さんにとって、新しい働き方の選択肢として検討する際の判断材料にしてください。

レンタカー回送ドライバーってどんな仕事?

レンタカー回送ドライバーは、レンタカー会社の車両を指定された場所まで運ぶ仕事です。お客さんが乗り捨てた車を元の店舗に戻したり、店舗間で車を移動させたりするのが主な業務になります。

一見すると単純な運転業務に思えますが、実際にはさまざまな種類の回送があり、それぞれに特徴があります。

基本的な仕事の流れ

レンタカー回送の仕事は、まず回送会社に働ける日時を連絡するところから始まります。その後、会社から回送の詳しい指示が送られてきます。

指示には回送する日時、車のナンバー、引き取り場所、納車場所、そして回送料金などが含まれています。当日は公共交通機関を使って引き取り場所まで向かい、車を受け取って指定された場所まで運転します。

納車が完了したら、また公共交通機関で帰宅するか、次の回送場所に向かうことになります。

回送の種類と特徴

レンタカー回送には主に3つの種類があります。

乗り捨て回送は、お客さんが借りた場所とは違う場所に返却した車を、元の店舗に戻す作業です。観光地や空港などでよく発生する回送で、長距離移動になることが多いのが特徴です。

定期回送は、各店舗の車両数を適正に保つために行う移動です。需要の多い店舗に車を集めたり、逆に車が余っている店舗から移動させたりします。

臨時回送は、予約状況に応じて急遽必要になる回送です。特定の車種の予約が入った際に、その車を別の店舗から移動させる場合などに発生します。

必要な免許と資格

レンタカー回送ドライバーになるために特別な資格は必要ありません。普通自動車免許があれば始められます。

ただし、会社によっては一定期間以上の運転経験を求められることがあります。また、事故歴や違反歴についても確認される場合が多いです。

安全運転ができることが最も重要な条件となります。

レンタカー回送がきついと言われる理由7つ

レンタカー回送の仕事には、表面的には見えない大変さがあります。実際に働いている人たちが「きつい」と感じる理由を詳しく見ていきましょう。

1. 経費の立て替えが重い負担になる

レンタカー回送で最も大きな負担となるのが、経費の立て替えです。ガソリン代や高速料金、駐車場代などを一時的に自分で支払わなければなりません。

月10万円以上の立て替えが必要な場合も

回送の仕事を多くこなしていると、月に10万円以上の経費を立て替えることも珍しくありません。特に長距離の回送が多い場合、高速料金だけで数万円になることもあります。

手元にある程度の現金がないと、仕事を続けることが難しくなってしまいます。

精算までの期間が長い

立て替えた経費は後日精算されますが、その期間が長いことも問題です。会社によっては月末締めの翌月末払いなど、2か月近く待たされることもあります。

この間は自分の家計から支出することになるため、金銭的な余裕がない人にとっては大きな負担となります。

2. 時間のプレッシャーがつらい

レンタカー回送では、決められた時間までに必ず車を届けなければなりません。次の予約が入っているため、遅れることは許されないのです。

納車期限は絶対に守らなければならない

レンタカーは時間単位で予約が入っているため、納車時間に遅れると次のお客さんに迷惑をかけてしまいます。そのため、どんな状況でも時間を守る必要があります。

この責任の重さが、常にプレッシャーとなって感じられます。

渋滞や事故で焦ることが多い

道路状況は予測できないため、渋滞や事故に巻き込まれることがあります。そんな時でも納車時間は変わらないため、焦りながら運転することになります。

この焦りが事故につながるリスクもあり、精神的な負担は相当なものです。

3. 回送先までの移動が大変

レンタカー回送では、車を引き取りに行くまでの移動も自分で行わなければなりません。この移動が意外と大変なのです。

遠方への移動は時間も費用もかかる

引き取り場所が遠方の場合、電車やバスを乗り継いで向かう必要があります。移動だけで数時間かかることもあり、その間の交通費も自己負担になる場合があります。

実際の回送時間よりも、移動時間の方が長くなることも珍しくありません。

徒歩での移動距離が長い場合がある

駅から引き取り場所まで徒歩で移動する必要がある場合、かなりの距離を歩くことになります。特に大きな駐車場や工業団地などでは、数キロ歩くこともあります。

天候が悪い日は特に大変で、体力的な負担も大きくなります。

4. 収入が不安定で時給も低め

レンタカー回送の収入面での問題も深刻です。安定した収入を得るのが難しく、時給も決して高くありません。

仕事量にムラがある

レンタカー回送の仕事量は、季節や曜日によって大きく変動します。観光シーズンや連休前は忙しくなりますが、閑散期は仕事がほとんどない日もあります。

毎月安定した収入を得るのは困難で、生活設計が立てにくいのが現実です。

経費を差し引くと手取りが少ない

時給1,000円程度の仕事が多いですが、そこから交通費やガソリン代などの経費を差し引くと、実際の手取りはかなり少なくなります。

月収15万円から20万円程度が相場ですが、経費を考慮すると実質的な収入はさらに下がってしまいます。

5. 事故のリスクと責任の重さ

レンタカー回送では、他人の車を運転するため、事故に対する責任が重くのしかかります。

慣れない車種を運転するリスク

毎回違う車種を運転することになるため、操作に慣れていない車での事故リスクが高くなります。車の特性を把握する前に運転しなければならないことも多く、注意が必要です。

特に高級車やスポーツカーなど、普段運転しない車種の場合は緊張も大きくなります。

事故時の賠償責任

万が一事故を起こした場合、保険でカバーされない部分は自己負担になることがあります。免責金額の設定によっては、数万円から数十万円の負担が発生する可能性もあります。

この責任の重さが、常に精神的なプレッシャーとなって感じられます。

6. 体力的な負担が意外と大きい

運転するだけの仕事に見えますが、実際には体力的な負担も大きいのがレンタカー回送の特徴です。

長時間の運転による疲労

長距離の回送では、数時間連続で運転することになります。休憩を取りながらとはいえ、長時間の集中は相当な疲労を伴います。

特に慣れない道を運転する場合は、普段以上に神経を使うため疲れやすくなります。

不規則な勤務時間

回送の仕事は時間が不規則で、早朝や深夜の作業もあります。生活リズムが乱れやすく、体調管理が難しくなることも多いです。

連続して回送を行う場合は、十分な休息を取ることができず、疲労が蓄積しやすくなります。

7. 一般道での運転が基本

レンタカー回送では、経費削減のため一般道での移動が基本となります。これが時間的にも精神的にも負担となります。

高速料金は支給されないことが多い

多くの回送会社では、高速料金は自己負担となるか、支給されても一部のみという場合が多いです。そのため、時間がかかっても一般道を使わざるを得ません。

長距離の回送でも下道を使うことになり、移動時間が大幅に長くなってしまいます。

下道での時間配分が難しい

一般道は信号や渋滞の影響を受けやすく、到着時間の予測が困難です。余裕を持ったスケジュールを組んでも、予想以上に時間がかかることがあります。

この不確実性が、常に時間に追われる感覚を生み出し、ストレスの原因となります。

経費の立て替えで困らないための対策

レンタカー回送で最も大きな負担となる経費の立て替えについて、困らないための具体的な対策を考えてみましょう。

立て替え費用の目安を把握しておく

回送の仕事を始める前に、どの程度の経費が必要になるかを把握しておくことが大切です。

ガソリン代は距離によって変わりますが、100キロあたり1,000円程度を目安に考えておくと良いでしょう。高速料金を使う場合は、さらに数千円から数万円が必要になります。

月に10回程度の回送を行う場合、5万円から10万円程度の立て替えが必要になることを覚悟しておきましょう。

精算時期を事前に確認する

回送会社によって精算のタイミングは異なります。月末締めの翌月払いが一般的ですが、中には2か月後になる会社もあります。

契約前に必ず精算時期を確認し、自分の家計に無理がないかを判断することが重要です。精算が遅い会社の場合は、それだけ多くの現金を用意しておく必要があります。

領収書の管理方法

立て替えた経費を確実に精算してもらうためには、領収書の管理が欠かせません。

スマートフォンのアプリを使って領収書を撮影し、デジタルで管理する方法がおすすめです。日付や金額、内容を記録しておけば、精算時にスムーズに処理できます。

紙の領収書は紛失のリスクがあるため、必ずコピーを取るか写真に残しておきましょう。

時間に追われないための工夫

納車時間のプレッシャーを軽減するために、時間管理の工夫が必要です。

ルートの下調べは必須

回送を行う前に、必ずルートの下調べを行いましょう。カーナビだけに頼らず、複数のルートを確認しておくことが大切です。

工事や通行止めの情報も事前にチェックし、迂回ルートも準備しておきます。土地勘のない場所では、特に念入りな準備が必要です。

渋滞情報のチェック方法

リアルタイムの渋滞情報をチェックできるアプリを活用しましょう。出発前だけでなく、運転中も定期的に確認することで、渋滞を避けることができます。

平日の朝夕や週末の行楽地周辺など、渋滞が予想される時間帯と場所を把握しておくことも重要です。

余裕を持ったスケジュール管理

納車時間に余裕を持たせることで、プレッシャーを軽減できます。通常の移動時間に加えて、30分から1時間程度の余裕を見込んでおきましょう。

早く到着した場合は、近くで休憩を取ることもできます。時間に追われる感覚を減らすことで、安全運転にもつながります。

レンタカー回送に向いている人・向いていない人

レンタカー回送の仕事が自分に合っているかどうかを判断するために、向き不向きを整理してみましょう。

向いている人の特徴

レンタカー回送に向いているのは、まず運転が好きで長時間の運転を苦に感じない人です。様々な車種を運転することを楽しめる人にとっては、魅力的な仕事と言えるでしょう。

一人で作業することが多いため、人とのコミュニケーションが苦手な人や、自分のペースで仕事をしたい人にも向いています。

時間管理がしっかりできる人、責任感が強い人も、この仕事に適しています。また、ある程度の経済的余裕があり、経費の立て替えに対応できる人でないと続けるのは困難です。

向いていない人の特徴

逆に向いていないのは、運転に自信がない人や、長時間の運転で疲れやすい人です。時間に追われることにストレスを感じやすい人も、この仕事は向いていません。

安定した収入を求める人や、毎月決まった額の給料が必要な人にとっても、レンタカー回送は適していないでしょう。

また、経費の立て替えができない人や、家計に余裕がない人は、この仕事を始めるべきではありません。

始める前に考えておきたいこと

レンタカー回送を始める前に、自分の生活状況や経済状況をよく考えてみましょう。

月にどの程度の収入が必要で、どの程度の経費を立て替えることができるのかを明確にしておくことが大切です。また、他の仕事との兼ね合いや、家族の理解も重要な要素です。

副業として始める場合は、本業に支障が出ないよう注意が必要です。

実際の給料と収入の実態

レンタカー回送ドライバーの収入について、現実的な数字を見てみましょう。

時給・日給の相場

レンタカー回送の時給は、地域や会社によって異なりますが、900円から1,200円程度が相場です。日給で計算すると、7,000円から10,000円程度になります。

ただし、これは総支給額であり、ここから経費を差し引く必要があります。実際の手取りは、この金額よりも少なくなることを理解しておきましょう。

月収の目安

フルタイムで働いた場合の月収は、15万円から20万円程度が目安です。ただし、仕事量が不安定なため、毎月この金額を確実に稼げるわけではありません。

繁忙期には月25万円程度稼げることもありますが、閑散期は月10万円以下になることもあります。年間を通して平均すると、180万円から250万円程度の年収になるでしょう。

経費を差し引いた実際の手取り

総支給額から経費を差し引いた実際の手取りは、かなり少なくなります。

ガソリン代、交通費、駐車場代、高速料金などを合計すると、月に3万円から5万円程度の経費がかかることが多いです。場合によっては、それ以上になることもあります。

月収20万円の場合、経費を差し引くと手取りは15万円程度になってしまうことも珍しくありません。

レンタカー回送を始める前に知っておきたい注意点

レンタカー回送の仕事を始める前に、必ず確認しておきたい重要なポイントがあります。

契約内容の確認ポイント

回送会社と契約する際は、契約内容を詳しく確認することが重要です。

時給や日給の金額だけでなく、経費の扱いについても明確にしておきましょう。どの経費が支給され、どの経費が自己負担になるのかを事前に把握しておくことが大切です。

精算の時期や方法についても、必ず確認しておきましょう。また、仕事のキャンセルや変更があった場合の取り扱いについても、事前に確認しておくと安心です。

保険の適用範囲

事故が起きた場合の保険の適用範囲についても、詳しく確認しておく必要があります。

どのような事故まで保険でカバーされるのか、免責金額はいくらなのか、自己負担はどの程度になるのかを明確にしておきましょう。

保険料が給料から差し引かれる場合は、その金額についても確認が必要です。

トラブル時の対応方法

車の故障や事故が起きた場合の対応方法についても、事前に確認しておきましょう。

緊急時の連絡先や、対応の手順を把握しておくことで、いざという時に慌てずに済みます。また、トラブルが起きた場合の責任の所在についても、明確にしておくことが重要です。

他の運送業との比較

レンタカー回送と他の運送業を比較して、自分に最適な仕事を選ぶ参考にしてください。

宅配ドライバーとの違い

宅配ドライバーは、荷物を配達する仕事で、お客さんとの接触があります。レンタカー回送は基本的に一人で作業するため、接客が苦手な人には向いています。

収入面では、宅配ドライバーの方が安定している場合が多いです。また、宅配ドライバーは経費の立て替えが少ないのも特徴です。

長距離トラックドライバーとの違い

長距離トラックドライバーは、大型車両を運転する必要があり、大型免許が必要です。レンタカー回送は普通免許で始められるため、参入しやすいのが特徴です。

収入面では、長距離トラックドライバーの方が高い場合が多いですが、その分責任も重くなります。

軽貨物ドライバーとの違い

軽貨物ドライバーは、自分の車両を使って配達を行う仕事です。車両の維持費や保険料などが自己負担になりますが、収入は比較的安定しています。

レンタカー回送は車両を用意する必要がないため、初期投資が少ないのがメリットです。ただし、収入の安定性では軽貨物ドライバーの方が優れている場合が多いです。

まとめ:レンタカー回送のきつさを理解して判断しよう

今回の記事では、レンタカー回送の仕事について詳しく解説してきました。以下に重要なポイントをまとめます。

  • レンタカー回送は経費の立て替えが大きな負担となる
  • 納車時間のプレッシャーが精神的にきつい
  • 収入が不安定で経費を差し引くと手取りが少ない
  • 事故のリスクと責任の重さがある
  • 体力的な負担も意外と大きい
  • 一般道での運転が基本で時間がかかる
  • 向き不向きがはっきりしている仕事

レンタカー回送の仕事は、運転が好きで一人で作業することを好む人には魅力的な仕事です。しかし、経済的な負担や時間的なプレッシャーなど、きつい面も多くあります。

この仕事を始める前に、自分の経済状況や生活スタイルをよく考えて、本当に続けられるかどうかを判断することが大切です。他の運送業との比較も参考にしながら、自分に最適な働き方を見つけてください。

運送業界には様々な選択肢があります。レンタカー回送以外の仕事についても情報を集めて、総合的に判断することをおすすめします。